春と紋々 どこで読める?シーモアやAmazon Kindleは?

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作品紹介(ネタバレあり)

あらすじ

父の営む穏やかな喫茶店で働いていた神木心春は、土地再開発を狙う地上げ屋によって店を奪われます。失意のなかで父親は倒れ、多額の負債を抱えることに。心春は店を買い戻し父親の治療費を稼ぐため、不本意ながらも夜の世界である高級クラブへ飛び込みます。

慣れない接客でトラブルを起こした彼女は、客から法外な弁償金を要求され窮地に陥りますが、その場を救ったのは圧倒的な威圧感を放つ超絶VIPの鬼崎誠吾です。鬼崎は現金を差し出して事態を解決しますが、代償として心春に体で返すよう命じます。

実は鬼崎こそが心春の店を買い上げた不動産会社の代表であり、因縁の相手だと判明。絶望的な契約から始まる2人の関係は、予測不能な展開へと動き出します。復讐と愛執が入り混じる夜の街を舞台に、心春の過酷な運命が幕を開けます。

作者

嶋伏ろう

国井桂

登場人物

神木心春

神木心春は本作のヒロインで、父親の喫茶店を大切に思う努力家の女性です。調理師免許の取得を目指して専門学校に通っていましたが、強引な地上げによって日常が崩壊することに。家族を守るためにキャバクラで働き始めるなど芯が強く度胸のある性格の持ち主です。

高級クラブでの接客中にトラブルに巻き込まれ、多額の借金を背負います。窮地を救った鬼崎誠吾に対し、自らの処女を条件に交渉を持ちかける決死の覚悟を見せますが、理不尽な状況に屈せず大切な場所を取り戻すためにひたむきに突き進む姿が印象的です。

鬼崎誠吾

鬼崎誠吾は一帯の都市開発を一手に引き受ける鬼崎不動産の代表であり、冷徹なカリスマ性を持つ男性です。誰も信じず女を金でしか判断しない、厭世的な一面も。高級クラブを訪れた際に心春のトラブルを解決し、彼女を自らの支配下に置きます。

心春の実家の土地を地上げした張本人であり、彼女にとっては憎むべき敵でもあります。容赦のない言動で彼女を追い詰めますが、その鋭い眼光の裏には深い孤独が漂っています。心春の予想外の提案に興味を抱き、危険な契約を結ぶことで物語を牽引する存在です。

心春の父

心春の父は喫茶店のマスターとして、地元の人々に愛される料理を振る舞っていた男性です。客の望む味を察する繊細な技術を持ち、娘からも深く尊敬される存在でもあります。

不当な手段で店を奪われたショックから倒れ入院生活を余儀なくされますが、娘には心配をかけまいと振る舞い続けます。実印を悪用されるなど地上げ屋の卑劣な罠に嵌まってしまい、その窮状こそが心春を夜の世界へと向かわせる最大の動機に。

雅樹

雅樹は心春が働いていた喫茶店の店員で、彼女の良き理解者となる若い男性です。フリーターを自称していますが、ひたむきに努力する心春を温かく見守り励まし続けます。

地上げ屋が店に現れた際も不穏な空気を感じ取り、彼女を支えようとする頼もしい存在です。心春が調理師の勉強をしている事実も知っており、その才能を認める1人でもあります。

神木

神木はサングラスをかけた狡猾な男で、土地再開発のために暗躍する地上げ屋です。言葉巧みに父親を追い詰め、不正な手段で店の売買契約を成立させます。

心春に対しても不遜な態度を取り続け、彼女を絶望の淵に突き落とすだけでなく、金に困った心春を高級クラブへ斡旋するなど、徹頭徹尾悪役として描かれる人物です。

高野

高野は高級クラブの客として登場する男性で、最初は心春の知識に感心して上機嫌でしたが、不慮の事故でスーツにお酒をこぼされ激怒します。弁償代として100万円という法外な金額を、動揺する心春に突きつける横暴ぶりです。

自らの地位や財力を誇示する一方、鬼崎の圧倒的な力の前には即座に引き下がる小心者の一面も。彼の横暴な振る舞いが結果として心春と鬼崎誠吾を結びつけるきっかけとなり、心春の運命を大きく変えるトラブルを引き起こす物語の転換点となる人物です。

見どころ

背中の刺青が象徴するもの

本作の大きな特徴は、タイトルにもある通り刺青を巡る深い描写にあります。第1話の冒頭では、心春が涙を流しながら背中に壮麗な龍の模様を刻まれるシーンが印象的です。これは単なる装飾ではなく、彼女の運命と覚悟が刻み込まれた決意の象徴でもあります。

鬼崎誠吾との契約を通じて心春が遂げる心理的変化が丁寧に綴られており、決して消えない心の証として描かれる刺青は2人の関係をより密接なものにします。視覚的な美しさと共に、過酷な状況を生き抜こうとするヒロインの強さが際立つ見どころです。

冷徹な王と誇り高き娘による心理戦

すべてを支配下に置こうとする鬼崎と、奪われた場所を取り戻そうとする心春の対立は本作の白眉です。鬼崎は圧倒的な財力で心春を屈服させようとしますが、彼女は自らの価値を武器に交渉を挑みます。

処女という純潔を対価に提示するその姿は、鬼崎の興味を強く惹きつけるのに十分です。鬼崎の冷酷な言葉に傷つきながらも目的のために瞳の光を失わない心春の強さが魅力であり、支配する側とされる側という単純な構図に収まらない2人に注目です。

立ち向かう理不尽な裏社会

愛着のある喫茶店や家族の思い出を無慈悲に奪われる描写は、読者に強い感情移入を促します。法が届かないような不当な契約に対し自力で立ち向かおうとする心春の執念が胸を打ち、一筋縄ではいかない闇の社会で彼女がどのように尊厳を保つのかが注目すべき点です。

地上げ屋の狡猾な罠や高級クラブでの女同士の嫉妬など、心春を待ち受ける試練は過酷を極めますが、それでも父親のために働き続ける姿は大きな支えとなっています。絶望的な状況からの逆転を狙う展開に、思わず手に汗握ること間違いありません。