私を裏切ったはずの公爵様が離婚してくれません どこで読める?

私を裏切ったはずの公爵様が離婚してくれません どこで読める?

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作品紹介(ネタバレあり)

あらすじ

平民として花屋を営むエルナは、国内随一の魔力と美貌を持つ貴公子、ラフター=スカイロッド公爵から熱烈な求婚を受けて結婚します。ところが結婚式の翌朝、ラフターは「愛なんて初めからない」と告げ、この結婚が偽りであり自身の目的のためだったとエルナを絶望の淵に突き落としました。

彼女の人柄に本気で恋に落ちていましたが、ある会話を盗み聞きしたことでエルナを悪女と誤解し、結婚という形で最も残酷な裏切りを実行したのです。絶望したエルナは領地へ送られる途中で事故に遭い、崖から転落して行方不明となります。

その後、ラフターはエルナがアレクの異母妹であった真実を知り、自身の罪の重さに苛まれて彼女を必死に捜索。約1年後、ウィステリアという偽名の記憶を失ったエルナが発見され、ラフターは自らの過ちを隠し献身的な夫として彼女を迎え入れます。

穏やかな日々の中でエルナはラフターを愛し始めるも、ふとしたきっかけで全ての記憶を取り戻して彼を拒絶しました。記憶が戻ったエルナに対してラフターは許しを乞い、離婚後にもう一度求婚することを宣言し、真の愛と絆を取り戻すために奮闘していきます。

作者

藤原ちづる

柏みなみ

エトワール編集部

登場人物

エルナ

エルナは亡き母が遺した花屋を営む心優しい女性で、本作の主人公です。当初は平民の娘と思われていましたが、実はレイニード公爵家の血を引く令嬢であり、アレクの異母妹であることが後に判明します。

貴族に生まれるも平民として育ち、平民でありながら魔力を増幅させる媒体石を使わずに高度な魔法を使用できる特別な力を持っていました。

ラフター公爵からの求婚を受け結婚しますが、直後に裏切られて絶望し、事故によって約1年間記憶を失ってウィステリアという偽名で過ごします。記憶を取り戻した後は自分を裏切ったラフターを拒絶するも、逆境にあっても優しさや芯の強さを失いません。

物語が進むにつれて、彼女に眠る希少な癒し魔法の力が覚醒し、魔塔の存在とも関わるエルナ自身の出生の謎が物語の重要な鍵となっていきます。

公爵の裏切り、記憶喪失、出生の秘密という三重苦に見舞われながらも、人を恨まず自分の人生を取り戻そうとする強さを持ったヒロインです。

ラフター=スカイロッド公爵

ラフター=スカイロッド公爵は帝国でも随一の魔力と高い美貌を誇る貴公子で、スカイロッド公爵家の当主です。従兄アレクの浮気相手と誤解したエルナを制裁するために偽りの愛で近づきましたが、彼女の人柄に本気で恋に落ちます。

しかしエルナを悪女と誤解したことで愛情は憎悪に変わり、結婚式の翌朝、彼女を裏切って追い出しました。エルナの行方不明後、彼女がアレクの異母妹であった真実を知り、取り返しのつかない過ちを犯したことに深い後悔を抱きます。

記憶喪失になったエルナに対して過去の罪を隠しながらも本物の愛を注いでひたすら許しを乞う贖罪の道を歩みます。記憶を取り戻したエルナに拒絶された際には、離婚して自由になった上で「もう一度改めて求婚する」と宣言しました。

アレク

アレクはアレキサンダー・レイニード公爵として知られ、ラフター=スカイロッド公爵の従兄にあたります。エルナの失われた過去を知る人物であり、後にエルナの異母兄であることが判明します。

物語の序盤、彼の妻シャーロットがアレクの浮気を疑ってエルナを相手と勘違いしたことがラフターの行動を引き起こす大きなきっかけとなりました。

アレクは実際のところ父の遺言によりエルナを探しており、不倫はしていませんでしたが、シャーロットの相談を受けたラフターの独断が悲劇を生んだのです。

エルナが事故で行方不明になった後、彼はラフターにエルナの出生の真実を伝え、ラフターに深い後悔を抱かせることになりました。

シャーロット

シャーロットはアレクの妻で、妊娠中であった彼女は夫の浮気を疑い、夫の従兄であるラフターに相談します。彼女のこの早とちりと思いつきによる相談が、意図せずしてラフターの勘違いと暴走を招き、エルナを不幸に陥れる原因となりました。

ラフターは彼女の相談やエルナとアレクの会話を盗み聞きして、複数の勘違い要素が重なったことで、エルナを悪女と誤認することに。

物語の後半でシャーロットはエルナの出生の秘密や一連の出来事の真相を知り、心から反省します。その後はエルナに寄り添い、エルナの王都への旅に同行するなど、良き義姉として関係を修復していきます。

ミゲル

ミゲルはソチアル伯爵家の次男で、崖から落ちて記憶喪失となったエルナを助け、彼女を保護した人物です。記憶のないエルナはウィステリアという偽名で彼の家で暮らし、ミゲルから結婚の申し込みも受けていました。

エルナにとってミゲルは裏切りと絶望から逃れた後の、新たな生活の基盤となる優しさの象徴と言えますが、優しさの裏に別の顔を隠しています。

見どころ

許しを問う重厚なストーリー

本作のテーマは「許し」であり、「人は、これほど深い裏切りを許せるのか」という重い問いに真正面から挑んでいます。物語の序盤でラフターが犯した独善的で残酷な裏切り行為は、多くの読者から強い嫌悪感や怒りを呼び、賛否両論を巻き起こしました。

読者レビューでヒーローが許せないという声が多いことは本作が安易な和解を避け、心の傷と信頼回復の困難さを真摯に描いていることの証拠です。単なる甘い恋愛模様ではなく裏切りを犯した側の罪の意識と被害者側の深く傷ついた心、その心の脆さの描写が丁寧です。

ラフターは自身の過ちを深く後悔し、記憶を失ったエルナに献身的な愛を注ぐことで贖罪を試みますが、記憶が戻ったエルナは彼を完全に拒絶します。

加害者と被害者としての関係性が再び始まることで、物語は贖罪と再生という道徳的なテーマへと深化していくのが本作の魅力です。

ヒーローの過ちと贖罪の過程

ラフターは自身の地位や魔力、そして強い正義感がむしろ独善的な思い込みと短絡的な行動を招く欠陥の源泉となっています。従兄アレクの妻シャーロットの言葉を信じ、本人に確認を怠ったまま、一人の女性の人生を破壊しました。

この構造は従来の完璧なヒーロー像とは異なり、人間の不完全さや過ちに焦点を当てた批評的な人物造形であると言えます。

エルナの行方不明後に真実を知ったラフターは自らの過ちを認め、痛々しいまでの贖罪の過程を歩み始めました。彼女を愛と執着をもって探し続けて再会し、それからは罪を隠しながらも本物の愛を注いでひたすら許しを乞う贖罪を試みます。

記憶を取り戻したエルナに拒絶された際には、離婚して一度自由になった上で「もう一度改めて求婚する」と宣言しますが、この再求婚の宣言は単なる夫婦関係の修復ではない、ゼロからの再出発を願う彼の真摯な贖罪の意思をエルナに示す重要な転換点となっています。

記憶喪失という巧妙な舞台装置

物語の中盤で発生するエルナの記憶喪失は単なる展開のご都合主義としてではなく、物語の倫理観を揺さぶるための非常に巧みな舞台装置として機能しています。記憶を失ったエルナに対し、過去の罪を隠しつつ理想の夫を献身的に演じる加害者のラフター。

偽りの幸福な日々が描かれることで、読者はラフターの罪がどれほど重く、彼らが本来享受できたはずの幸福な姿がどうあるべきだったのかを、常に痛感させられるのです。

記憶のないエルナはラフターの優しさに触れて再び彼を愛し始めますが、その優しさの裏に冷酷な裏切り者が潜んでいる事実は、二重の絶望を彼女にもたらしました。

エルナが記憶を取り戻しラフターを拒絶した後も、その間に築かれた愛の記憶が、彼女の心を簡単には割り切れなくさせています。記憶喪失の設定が、物語を単なる復讐劇に留まらない愛と罪の対比を描く深みのあるヒューマンドラマへと昇華させているのです。

出生の秘密と癒し魔法の覚醒

物語が進行するにつれて、エルナの出生の秘密が明かされ、物語は夫婦の関係修復を超えた大きなスケールへと広がっていきます。エルナは平民の花屋の娘ではなく、レイニード公爵家の血を引く令嬢であり、アレクの異母妹であることが判明します。

この出生の秘密が、ラフターがエルナをアレクの浮気相手と勘違いする原因となった物語の根幹です。また、エルナは希少な癒し魔法の力を秘めており、瀕死の父である前レイニード公爵を救おうとした際に、この特殊な力が覚醒します。

力の覚醒は、彼女の母親が関わっていた魔塔の存在を浮上させ、エルナが魔塔からの誘いを断るためにラフターとの婚姻を続けるという、新たな展開へと繋がっていきます。

エルナが持つ平民らしさと貴族の血、そして特殊な魔力の要素が物語の鍵となり、二人の愛の行方だけでなく、家や国の運命を左右する壮大なドラマへと発展していきます。

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