漫画『脳外科医 竹田くん』はどこで読める?

漫画『脳外科医 竹田くん』はどこで読める?

漫画『脳外科医 竹田くん』はどこで読める?

『脳外科医 竹田くん』は、2023年1月から7月までブログサービスの「はてなブログ」で連載されたウェブ漫画です。全142話が無料で公開されており、公式ブログにアクセスすればすべてのエピソードを閲覧することが可能です。

連載は2023年7月22日の第142話をもって完結(続編は未定)していますが、作品は削除されずにアーカイブとして現在も閲覧可能な状態です。作者は、これまでに出版社からの依頼を数多く受けたもののすべて断っており、商業的な収益化は一切行っていません。

これは、フィクションという手段を通じて社会に問題を提起し、より多くの人々に事故の教訓を伝えたいという制作意図に基づいています。そのため、Amazon Kindleやブックライブなどの主要な電子書籍プラットフォームや紙媒体の単行本として配信されていません。

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以下、作中のネタバレを含みます。

あらすじ

『脳外科医 竹田くん』は、架空の赤池市民病院の脳神経外科を舞台とし、第一部「医療事故篇」、第二部「野望篇」、第三部「隠蔽工作篇」の全三部構成で描かれています。

第一部(1話〜55話)では、未熟なフリー医師の竹田くんが着任した後、手術ミスにより患者に重い後遺症や死亡事故が連続して発生する過程が描かれます。医療事故の多発により、ついには臨床工学技士が「殺人行為に加担したくない」と手術への参加を拒否する事態に至ります。

第二部(56話〜106話)は、相次ぐ事故で執刀禁止となった竹田くんが、地位回復のために画策する様子が中心です。竹田くんは、医療事故の全責任を上司の古荒医師に押し付ける虚偽の報告書を作成し、病院上層部もこれを公認して組織的な隠蔽に加担します。

第三部(107話〜142話)では、竹田くんの医療事故が全国報道され、病院は窮地に陥り事故の規模を小さく見せようと隠蔽工作に努めます。しかし、病院側の杜撰な対応により、脳神経外科学会から市民病院自体が認定停止処分を受けるという結末が描かれています。

登場人物

竹田くん

竹田くんは、本作のタイトルにもなっている主人公であり、赤池市民病院の脳神経外科にフリーの医師としてやってきます。彼は手術が大好きな一方で、外科医として致命的な欠点があり、手術の技術が未熟で、止血ができない、カテーテルの扱いが雑などの問題を抱えています。

竹田くんは以前の医局を破門されており、指導医からは「史上最低の医師」と断言されていました。赤池市民病院に着任してから短期間に11件の医療事故を発生させ、患者に重い後遺症や死亡をもたらしました。

相次ぐ事故で手術禁止処分を受けても、竹田くんは反省することなく、自分のミスを棚に上げて上司をパワハラで訴えようとするなど、保身に走る問題行動を繰り返します。彼は、勉強はできたものの手先が不器用である上に虚言癖もあるとされ、倫理観の欠如が病院全体の混乱を招きました。

古荒医師

古荒医師は、赤池市民病院脳神経外科の科長であり、竹田くんの直属の上司にあたります。彼はベテランの脳外科医ですが、お人好しで優しすぎる性格を持つため、竹田くんが医療事故を繰り返しても、彼を教育する使命感から執刀を止めさせることができませんでした。

古荒医師の甘い判断の結果、自身の受け持ち患者を竹田くんに執刀させてしまい、患者を死亡させるという重大な医療事故の被害を拡大させてしまいます。また、竹田くんが作成した虚偽の事故報告書を黙認したことで、組織的な隠蔽工作に巻き込まれてしまいます。

最終的に、竹田くんから手術禁止処分を巡ってパワハラで提訴されるなど、理不尽な事態に直面することになります。古荒医師の存在は、善意と優柔不断さから最悪の結果を招いてしまう上司の姿として描かれています。

富士院長

富士院長は、赤池市民病院の最高責任者であり、古荒医師の上司です。彼は、竹田くんの医療事故や脳外科の横暴に対して、医療安全推進室からの報告を受けるまで積極的な介入をしませんでした。

院長は、自身の定年までの保身を第一に考え、竹田くんによる医療事故の隠蔽に組織ぐるみで関わります。竹田くんが上司に責任をなすりつける虚偽の事故報告書を作成した際も、それを把握しながら病院の正式な報告書として認めてしまいました。

富士院長をはじめとする病院幹部たちの問題を先送りし、患者や市民よりも組織の評判を守ろうとする姿勢は、病院のガバナンス不全と倫理観の欠如を象徴しています。最終的に、病院の隠蔽体質が限界に達し、脳神経外科学会から認定停止処分を受けるという厳しい結末を招きました。

見どころ

実話モチーフの圧倒的な恐怖

『脳外科医 竹田くん』の見どころは、実在の医療事故をモチーフにしている点が生み出す、圧倒的なリアリティと恐怖です。兵庫県赤穂市民病院で発生した連続医療事故と酷似したエピソードを題材としています。

手術中の具体的なミスや、患者に永続的な四肢麻痺などの重篤な後遺症が残る様子が、生々しく描かれています。これは、作者が被害者の親族として報道や裁判資料、関係者からの聴き取りを通じて詳細な情報を得ていたためです。

技術と倫理観の欠如した医師が野放しにされ、被害が拡大していく様子は、読者に「現実に起こり得る」という根源的な恐怖を感じさせます。

組織的な隠蔽とガバナンス不全

本作は問題医師である竹田くん個人の責任に留まらず、病院組織全体が持つ構造的な問題に焦点を当てています。赤池市民病院では、医療安全管理体制が機能しておらず、重大な事故が公表されないまま隠蔽されます。

院長をはじめとする病院幹部たちは問題を解決するよりも、自己保身と事なかれ主義を優先し、組織ぐるみで虚偽の報告書を容認します。第三部「隠蔽工作篇」では、病院が事故を過小評価しようと画策した結果、脳神経外科学会から認定停止処分を受ける顛末が描かれます。

この描写は、患者の安全よりも組織の評判を守ろうとする日本の医療機関や社会が抱える問題点を浮き彫りにしています。

問題医師と上司の歪んだ関係

竹田くんと上司である古荒医師の関係は、本作の悲劇的なドラマの核となっています。古荒医師は、竹田くんの技術不足を知りながらも、彼を育てようとする男の約束や使命感から執刀を許可し続けます。

古荒医師の優柔不断な判断が、結果的に医療事故の連鎖を止められず、被害を拡大させる原因となりました。さらに、手術禁止処分を受けた竹田くんは、自分の責任をすべて古荒医師に押し付け、彼をパワハラで提訴するという非道な行動に出ます。

この歪んだ関係性は、善意を持つ上司が倫理観のない部下に翻弄され、最終的に理不尽な状況に陥るという構図を描き、組織における指導医の責任と葛藤を深く問いかけています。

作者

『脳外科医 竹田くん』の作者は、連載開始当初は「脳外科医 竹田くん」製作委員会という匿名名義で活動していましたが、2025年2月5日に声明文を公表しました。作者は、赤穂市民病院脳神経外科で2019年から2020年にかけて複数発生した医療事故のうち、2020年1月22日に起きた医療過誤の被害者の親族であることが明らかにされています。

作者は被害者の親族という立場から、一連の事故や脳神経外科の内情について関係者から情報を取得し、その異常な事実経緯を詳細に記録しました。本作の制作に至った経緯は、医療過誤の真相が究明されずに事件が風化することへの強い危機感から、この問題を社会に広く伝えるためにフィクションという手段を選んだためです。

また、物語のテーマである病院の医療事故対応の問題点を描くために、院長や上級医、医療安全なども含めた組織全体についても問題提起する必要があると考え、被害者目線の描写は極力排除して描いたと述べています。

評判

良い評判

『脳外科医 竹田くん』は、実話に基づく圧倒的なリアリティと、医療現場の闇に切り込む告発性によって高い評価を得ています。特に医療関係者からは、作中で描かれる手術の詳細や病院組織の隠蔽体質が「リアルすぎて背筋が凍る」「現場を知る者として身につまされる」といった声が多く寄せられています。

作者が被害者親族という立場でありながら、感情的な誇張を避け、組織的な問題として冷静に描いた姿勢が、高い公益性を持つと多くの読者に支持されています。漫画という形式を用いて、公にされなかった重大な医療事故の事実を広く社会に伝えた功績は非常に大きいと考えられています。

悪い評判

『脳外科医 竹田くん』には、作品の内容そのものに対する悪い評判というよりも、描かれている事実の重さやモデルとなった医師からの反論に関する議論が見られます。

一部の読者はあまりにもショッキングで重い内容のため、「ホラー漫画ではなく現実の悪夢」と感じ、途中で読むのをやめたそうです。また、本作に登場する竹田くんのモデルとされる医師は、漫画の内容について、自身がメディアで誤った情報を流され世間の敵にされているとXで主張しました。

この医師は、漫画の作者に対し発信者情報開示請求を行うなど法的な動きも見せており、これがさらにSNS上で議論を呼びました。この論争は、医療従事者が抱えるプレッシャーと告発が持つ社会的影響力の大きさを示しています。