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愛で消えるは殺人のかほり どこで読める?シーモアやAmazonは?
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作品紹介(ネタバレあり)
あらすじ
千代は視力が弱いために家の中で邪魔者扱いされ、母親や妹の愛子からはまるで召使いのように扱われる辛い毎日を過ごしていました。そんな娘の行く末を心配した父親が勧めたのは、かつての部下の息子である勇との縁談。
最初は無愛想な勇に戸惑う千代でしたが、彼のまっすぐな優しさに触れるうちに、少しずつ心を開いていきます。ところが結婚して勇が実は大変な資産家だと分かった途端、それまで千代を見下していた家族の態度は一変しました。
激しい嫌がらせや過去の心の傷など、二人の前には多くの困難が立ちはだかるも、それでも彼らは決して手を離しません。お互いを信じ抜き、一歩ずつ本当の夫婦としての絆を深めていくのです。
本作は生まれつき目が不自由な月島千代が、不器用な軍人・春日井勇と出会い、本物の愛を育んでいく姿を描いた物語です。
作者
こいでみえこ
蒼生子子
高塚翔
登場人物
月島千代
本作の主人公である月島千代は、生まれつき視界がぼやけてしまう弱視というハンデを抱えて生きています。家では実の母親や妹から冷たくあしらわれ、何かと不当な扱いを受けるなど、とても苦しい境遇に置かれてきました。
それでも自分の運命を恨んだり投げ出したりはしません。心の中に強い芯を持ち、父親が勧めてくれた勇との縁談を前向きに受け入れます。新しい環境に戸惑いながらも、一生懸命に妻としての役目を果たそうとする、健気でひたむきな女性です。
目が不自由な代わりに相手の声の響きや手の温もりから、その人の本当の姿を感じ取る繊細な感性を持っています。
勇の不器用な優しさにいち早く気づき、彼が抱える心の傷にそっと寄り添おうとする。そんな彼女の温かな行動が、物語の中で多くの人たちの心を動かしていくのです。
春日井勇
春日井勇は、千代の父親が信頼を寄せている部下の息子で、自身も軍人として戦場に立っていた青年です。がっしりとした大きな体つきに加え、顔には戦いで刻まれた深い傷跡があるため、初対面の人には怖そうな人という印象を与えてしまいがちです。
強面な見た目とは対照的に、中身はとても穏やかで誠実な性格。千代の目の障害についても、偏見を持つことなく当たり前のように受け入れる心の広さを持っています。資産家の家系ですが、それを自慢することなく千代に対してはいつも謙虚で優しい態度を崩しません。
過去の戦争体験から自分は野蛮な人間だと卑下しており、清らかな千代を汚してはいけないという思いから、最初は彼女に触れることをためらっていました。しかし、守るべき大切な存在を得たことで、過去とも向き合い夫として一歩ずつ成長していきます。
月島愛子
千代の妹である月島愛子は、誰もが振り返るような美貌を持ち、何でも完璧にこなす優等生としてちやほやされて育ちました。母親から目一杯の愛情を注がれた結果、姉の千代を完全に見下し、陰でいじめることを何とも思わない傲慢な性格になってしまったのです。
勇が莫大な資産を持つ名家の出身と知ると、それまでの態度をコロッと変えて、彼を奪おうと画策し始めます。姉の幸せがとにかく面白くないようで、自分を正妻にして千代を召使いにするよう提案するなど、耳を疑うような身勝手な振る舞いも平気で行います。
自分こそが一番大切にされるべきだという特権意識が強く、千代のささやかな幸せを壊すことに執念を燃やすなど、彼女の勝手な行動は周囲を振り回し、二人の幸せを邪魔する最大の壁として立ちはだかります。
千代の父
軍人として活躍する千代の父親は、ギスギスした家庭の中で唯一、千代に無償の愛を注いでくれる理解者です。仕事で家を空けることが多かったため、家の中でのいじめの実態を完全には把握できていませんでしたが、娘のことは常に気にかけていました。
「自分が元気なうちに、千代が安心して過ごせる居場所を作ってあげたい」と、娘の将来を心底心配しています。だからこそ、最も信頼できる友人の息子である勇に、大切な娘を託す決断を下したのでしょう。
「目が見えない分、人の優しさをしっかり見逃さないように生きなさい」と教え、千代の豊かな感性を育てた良き教育者でもあります。彼が用意した縁談が、暗闇にいた千代にとって唯一の救いの光です。
千代の母
千代の実の母親は、障害を持って生まれた娘を家の恥として嫌い、長年にわたって冷酷な態度をとってきた人物です。家族として接するどころか、家中の雑用を押し付けて家政婦のようにこき使うことに、何の罪悪感も抱いていません。
美しく優秀な妹の愛子ばかりを極端に甘やかす一方で、千代にはきつい言葉を浴びせて自信を奪い続けてきました。愛子と同様にお金や地位への執着がものすごく強く、相手の価値を財産だけで判断する傾向があります。
勇に資産があると分かった途端、娘を愛子にすり替えようと企むなど、母親としてのモラルに欠けた振る舞いも。実の娘にこれほどの悪意を向けられる背景には、彼女自身の歪んだプライドが深く関わっているようです。
見どころ
育まれる二人の純愛
本作の一番の魅力は、千代と勇が少しずつ歩み寄っていく、真っ直ぐな愛の形です。目が不自由なことに引け目を感じている千代と戦場での記憶に苦しむ勇。二人はお互いの足りないところを埋め合うようにして、ゆっくりと絆を深めていきます。
勇が千代を抱きかかえて藤の花を見せてあげたり、不器用ながらも彼女の好みを一生懸命に優先したりする姿には、思わず胸が熱くなります。派手な演出はありませんが、二人の間に流れる穏やかで優しい空気が、本作ならではの良さと言えるでしょう。
最初は戸惑いながらも次第にかけがえのない存在へと変わっていく心の動きが、丁寧に描かれています。言葉を交わすたびに愛が育まれていく様子は、見ているこちらまで「純愛っていいな」と温かい気持ちにさせてくれます。
逆境で見せる千代の芯の強さ
ヒロインの千代は、ただ守られるだけの弱い女性ではありません。いざという時には、驚くほどの芯の強さを見せてくれます。たとえ家族からひどい言葉を投げかけられても、自分の信じる道を貫き、静かに、でも力強く言い返す場面はとても印象的です。
特に勇が人殺しと罵られた時、彼を守るために毅然と立ち向かう姿には、かっこよさすら感じます。自分の運命を嘆くだけでなく、今の環境で自分にできることを精一杯こなそうとする彼女の生き方は、周りの人たちの心も少しずつ変えていくのでしょう。
ハンデを抱えながらも夫を支え、家庭を守ろうとする前向きな姿勢は、現代を生きる私たちも共感できる部分が多いはずです。壁を乗り越えるたびに磨かれていく彼女の心の美しさが、物語に深い感動を与えています。
勇が抱える心の傷と秘密
たくましい勇の背中には、激しい戦場を生き抜いてきた証である深い傷跡が刻まれています。彼は多くの命を奪った自分は汚れていると思い込み、清らかな心を持つ千代に触れる資格などないのだと、ずっと一人で悩み続けてきました。
この心の闇と体の傷が、二人の関係がなかなか進まない理由となり、物語に切ない緊張感を生んでいます。彼がずっと隠してきた弱さを、千代の無償の愛がどう包み込んでいくのかが、物語の大きな見どころです。
勇が勇気を出して自分の傷をさらけ出した時、千代がそれを優しく受け止める瞬間は、涙なしには読めません。過去の苦しみを知る彼にとって、千代の存在は自分を一人の人間として救ってくれる、たった一つの光となっているのです。
悪意に屈しない二人の絆
お金や家柄ばかりを気にして嫌がらせを繰り返す母親や妹の愛子に対し、勇が見せる態度はとてもかっこいいです。彼は千代を傷つける言葉を一切許さず、夫として彼女を守り抜くと宣言。
自分勝手な提案をきっぱりと断り、愛子を厳しく突き放すシーンは、読んでいて本当にスカッとします。彼は鋭い観察力で相手の悪意を見抜き、真っ当な理屈で彼女たちの野心を打ち砕いていくのです。
外からの攻撃を二人で力を合わせて跳ね返すことで、夫婦の絆はより一層強固なものへと変わっていきます。勇の大きな包容力によってこれまで孤独に耐えてきた千代の心が救われていく過程は、本作の醍醐味です。

感想・評価