この絵には裏がある どこで読める?ピッコマやAmazon Kindleは?

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作品紹介(ネタバレあり)

あらすじ

スクールカウンセラーとして赴任した相馬梨花が最初に知るのは、3か月前にこの学校で起きた悲劇的な事件です。小学2年生の佐藤カズオミという少年が、校舎から転落して命を落としていたのでした。

カズオミが残したのは、一見すると普通に見える3枚の絵だけ。梨花は大学時代の先輩である心理学者の柳井恭介に相談し、これらの絵に隠された不可解な違和感を調査し始めます。

子どもの本心は言葉ではなく絵に現れるという信念のもと、二人は緻密な分析を進めていきます。そこには事故や自殺では説明がつかない、恐るべき他殺の可能性が浮かび上がってくるのです。

作者

樹生ナト

大塩哲史

登場人物

相馬 梨花

念願だったスクールカウンセラーとして、学校に着任したばかりの女性です。誰にも言えない悩みを抱える子どもたちの受け皿になりたいという、強い使命感の持ち主。真面目で行動力がある一方、柳井からは目的に対して真っすぐすぎると指摘される一面もあります。カズオミの死に疑問を抱き、真相解明のために奔走する本作の主人公です。

柳井 恭介

英成大学の心理学研究室で准教授を務める、梨花のゼミの先輩です。史上最年少で昇進したキレモノですが、人の心がわからないと言われるほど性格に難があるのも確かです。観察眼が非常に鋭く、カズオミの絵に含まれるわずかな不自然さも見逃しません。心理学的な観点から、少年の転落死が他殺であるという衝撃的な仮説を導き出します。

佐藤 カズオミ

赴任先の学校に通っていた小学2年生の児童で、7月に転落事故で亡くなっています。在校時間のほとんどをカウンセリングルームで過ごしており、何かから避難していた形跡も。彼が残した3枚の絵には、家族への思いや学校生活の記録が刻まれているように見えます。しかしその裏側には、周囲の大人が気づかなかった深刻なSOSが隠されていたのです。

副浪 静

本作の舞台となる学校の校長を務める女性です。梨花を新しいカウンセラーとして採用し、子どもたちの心のケアを欠かさないよう指示を出す立場にあります。学校の理念として個性の尊重を掲げ、表面上は穏やかで理解ある教育者として振る舞います。一方で、過去の転落事故を悲しい出来事として処理しようとする姿勢も見せます。

小坂 春恵

学校の保健室に勤務している養護教諭です。着任したばかりの梨花と連携を取ることになり、校内の状況についてさまざまな情報を提供してくれます。前任のカウンセラーが短期間で辞めてしまった事実や、カズオミが頻繁に相談に来ていたことを梨花に伝える重要な人物。学校内の人間関係を客観的に見つめる視点の持ち主でもあります。

中島

梨花が着任する前にスクールカウンセラーを務めていた人物です。わずかな期間で職を辞しており、その理由は明確にされていません。カズオミが多くの時間を共に過ごした相手であり、当時の詳しい相談記録を残しています。その記録内容こそが、梨花たちが事件の真相へと近づくための重要な手がかりとなるのです。

見どころ

絵に仕掛けられた緻密なミステリー

本作最大の魅力は、児童が残した絵の中の違和感を読み解く、ピクチャーミステリーの要素です。一見すると稚拙な子どもの絵ですが、そこには現実の建物に不可欠な避雷針などが正確に描写されており、思わず目を見張ります。特定の場所を正確に観察しなければ描けないこれらの細部が、事件の起きた場所や時間帯を特定する鍵となります。読者も梨花たちと一緒に絵を検証しながら謎解きに没入できる、その構成の秀逸さも見どころのひとつです。

心理学が暴く言葉なきSOS

物語に深い説得力を与えているのが、柳井による心理学的な分析です。色の使い方や線の引き方から、描いた本人の興奮状態や高揚感を導き出す過程は、非常に興味深いものがあります。単なるストレスの表現だと思い込んでいた赤い色が実は別の感情を示しているなど、プロの視点による解釈が随所に光ります。言葉で自分を表現できない子どもの内面を理論的に解き明かす展開に、ぐっと引き込まれるはずです。

閉鎖的な学校環境に潜む不穏な空気

子どもを守るべき場所である学校が、どこか不気味な舞台として描かれている点にも注目です。生徒たちが明るく振る舞う一方で、廊下に掲示された絵には強い心理的負荷が透けて見えます。教師たちの発言やクラスの雰囲気の変化など、日常の風景に潜む歪みがじわじわと恐怖を煽り、誰もが何かを隠しているのではないかという疑念が物語全体に緊張感を持続させています。