国民ボタン どこで読める?シーモアやAmazon Kindleは?

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作品紹介(ネタバレあり)

あらすじ

平凡なサラリーマンである佐藤太郎のもとにある日突然悪魔が現れ、不気味な箱を渡します。その箱には白と黒の2つのボタンが付いており、1か月以内にどちらかを押さなければなりません。

当たりを引けば何も起きませんが、ハズレを引けば日本国民が全員死亡するというルールです。期限までにボタンを押さない場合も同様に国民全員が死亡する運命にあります。本作は極限状態に置かれた主人公の葛藤と崩壊していく社会を描いたサスペンスです。

作者

鈴木大四郎

楠風夏

登場人物

佐藤太郎

佐藤太郎は本作の主人公で、どこにでもいる平凡な会社員です。悪魔のゲームの当選者として選ばれ、突然日本国民の生死を握る立場に置かれます。重圧から逃げ出そうとする弱さも見せますが、弟の言葉に支えられて運命に立ち向かう人物です。

政府の隔離施設やカルト教団の拠点を転々とすることになります。英雄として称賛される一方で社会の混乱の責任を押し付けられる悲劇的な側面も持ち、最後まで良心を失わずに生き抜こうとする人間味あふれるキャラクターです。

悪魔

悪魔はシルクハットに燕尾服を纏い、不気味な笑みを浮かべる謎の存在です。突然佐藤の前に現れ、国民の命を賭けたデスゲームの開始を告げます。名刺を渡して部屋に上がり込むなど、どこか事務的で礼儀正しい振る舞いが、かえって恐怖を際立たせる人物です。

人類の生死を娯楽のように扱い、人々の道徳心や生存本能を試すゲームを次々と提案。正体や目的は一切不明ながら、人間が絶望する姿を冷徹に観察し続ける、物語の元凶にして冷静な傍観者です。

梅鉢

梅鉢は内閣官房に所属し、箱型装置対策推進室の管理官を務める人物です。佐藤の保護や国民ボタンの管理を担当し、国家規模の危機に対応する実務を取り仕切ります。冷静沈着な戦略家であり、国民のパニックを抑えるために冷酷な決断を下すことも厭わない人物です。

佐藤を支える良き理解者である一方で国家存続のために彼を利用する側面も併せ持ちます。作中でも重要な役割を果たし、理不尽なゲームに対して知略を尽くして対抗する頼もしくも複雑な背景を持つ人物です。

佐藤裕次

佐藤裕次は佐藤太郎の弟で、物語の開始時点では14歳の中学生です。兄とは年齢が11歳離れており、以前は少し距離のある関係でしたが、国民ボタンの騒動を通じて、兄を心から信じて応援する純粋な姿を見せます。

スタジアムでの運命の決断の際には、群衆の罵声に負けず兄を励まし続け、その言葉が佐藤の心を動かし、日本国民を救う大きなきっかけとなります。過酷な状況下でも純真さを失わない、本作における希望を象徴するような少年です。

佐藤の両親

佐藤太郎と裕次の父親および母親です。息子の佐藤が有名人になるとマスコミや野次馬の標的となり、生活が一変してしまいます。

政府の隔離施設で保護された後、久しぶりに再会した太郎を優しく包み込んだ2人は、息子が国民の生死を背負わされている状況を深く案じ、精神的な支えとなります。母親の慈愛に満ちた言葉や父親の静かな見守りは、追い詰められた太郎にとって大きな救いです。

大三国保

日本の総理大臣であり、国民ボタンへの政府対応を指揮する立場にある人物です。緊急記者会見を開いて佐藤の保護を発表するなど、常に世論を意識した行動を取ります。

他国の状況を窺いながら日本が世界の覇権を握る好機を探る野心家な一面も持ち、国民投票の実施を決断しながら、内面では冷ややかな計算を働かせています。

神沼

神沼はカルト教団である悪魔教の主犯格として登場する人物です。悪魔の降臨を予言の成就として信じ、独自の信仰に基づいて行動。佐藤を拉致監禁し、ゲームの行方を自身の理想に近づけようと画策する人物です。

ただの悪党ではなくある種の信念と哲学を持って大衆を先導する危険なカリスマであり、社会に不満を抱く人々を取り込んで国家を揺るがす大きな勢力へと成長させます。人間の精神的な脆さを突き、倫理観を揺さぶる強烈な敵役です。

エリカ

エリカは物語の舞台となる街で生活している女子高生です。当初は国民ボタンの存在をどこか他人事のように捉え、友人たちと噂話をしていましたが、やがて身近な人物が徐々に狂気に染まっていく過程を目の当たりにします。

若者の視点から異常な日常が徐々に浸透していく恐怖を読者に伝える存在で、大規模なデモや暴動に巻き込まれ平穏な生活が崩壊していくデスゲームに翻弄される一般市民です。

エリカの母親

精神的な不安からカルト教団に傾倒してしまう女性です。国民ボタンの恐怖に耐えきれず悪魔教に救いを求め、妄信的な信者となります。電車内や公共の場で異常な行動を繰り返し、娘のエリカを困惑させる人物です。

死の恐怖に直面した人間が理性を失い狂信に走る様を象徴しており、家庭崩壊の様子を通じてボタンがもたらす社会不安の深刻さを浮き彫りにします。弱者が心の隙間を突かれ、変わり果てていく姿が痛々しく描かれる存在です。

見どころ

究極の選択

5割の確率で国民が全滅するという、あまりに理不尽な状況下での葛藤が本作の魅力の1つです。1人の平凡な人間が1億2千万人以上の命を背負わされる重圧が描かれ、ボタンを押すべきか沈黙を守るべきかという問いが読者にも突きつけられます。

当たりとハズレの境界線が不明確な中で決断を下す恐怖は臨場感たっぷりに伝わります。主人公の精神が崩壊寸前まで追い込まれる様子は見る者の心を激しく揺さぶり、ただの娯楽作品に留まらない重厚な人間ドラマを味わえる点が特徴です。

現代社会の歪み

SNSによる身元の特定や匿名掲示板での誹謗中傷といった現代的な問題が絡み合い、情報の拡散によって主人公の家族までが危険にさらされる様子は現実味を帯びています。

ネット社会特有の暴力性や情報の不確かさが招くパニックも見事に表現されており、未曾有の危機に際して政府や政治家がどのように動くかも皮肉たっぷり。現実世界の延長線上にあるようなディストピア的な世界観が読者を物語へ引き込みます。