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アガペー ~異常心理士の審判~ どこで読める?ピッコマやAmazon Kindleは?
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作品紹介(ネタバレあり)
あらすじ
聖興学園のスクールカウンセラーとして、霧島千紘が着任します。物腰が柔らかく有能な公認心理士として歓迎される彼ですが、その正体は感情を理解しないサイコパス。本作は、独自の技術を駆使して悪人を裁く彼の姿を描いた物語です。
サッカー部員の春日翔太は、将来を期待される天才肌の選手でしたが、不良グループから執拗ないじめを受け、じわじわと心を擦り減らしていきます。信頼していた親友・堀内芳樹に助けを求めるものの、実は彼こそがいじめの黒幕。その裏切りによって翔太は脚の骨を折られ、サッカー選手としての夢を絶たれます。
霧島は被害者の叫びに静かに耳を傾け、心理士としての技術を審判のために使い始めます。愛を知らない心理士が、無償の愛——アガペー——を求めながら悪を処刑していく。そんな矛盾を抱えた物語が、ここから幕を開けます。
作者
江夏遙
SORAJIMA
登場人物
霧島千紘
聖興大学付属病院の公認心理士であり、聖興学園のカウンセラーを務める人物です。イケメンで穏やかな印象を与える一方、その内面には冷徹なサイコパスとしての顔が潜んでいます。感情を理解できない彼が渇望するのは、父が説いたアガペーを自らの手で理解すること。
被害者には寄り添いながらも、加害者に対しては一切の容赦を持ちません。催眠療法を用いて相手の精神を破壊し、時には身体的な破滅まで追い込む彼は、「心を治すか、壊すか」という不穏な問いを投げかけながら、独自の審判を繰り返します。
春日翔太
聖興学園の1年生で、将来有望なサッカー部員として周囲から注目を集める少年です。元プロ選手の父を持ち、二人三脚で夢を追う心優しい性格の持ち主。しかし不良グループから虐待に近い嫌がらせを受け、動画で脅されることで誰にも相談できない状況へと追い込まれます。
親友と信じていた堀内に裏切られ、インターハイ目前に脚を折られるという惨劇に見舞われながらも、憎しみに支配されないよう加害者を赦そうと葛藤し続けます。被害者としての苦しみと人間としての気高さを体現する、本作の重要人物です。
堀内芳樹
翔太と同じサッカー部に所属する同級生で、一見すると明るい友人として振る舞います。父親が学園の理事や病院の医局長を務める権力者であり、その威光を傘に着た人物です。実際には翔太への激しい嫉妬心を抱えており、彼を破滅させるために不良グループを操る黒幕として暗躍していました。
翔太のサッカー生命を奪った後も反省の色はなく、より残酷な想像を楽しむほど。霧島の技術によって、自分が与えた痛みと同等の凄惨な報いを受けることになります。他者を駒のように扱う傲慢さが、最終的に自らの破滅を招く結果となりました。
春日陽一郎
翔太の父親であり、現役時代はプロサッカー選手として活躍していました。自身の怪我によって引退した現在は、杖をつきながら小さな工場を経営しています。息子の才能を誰よりも深く信じ、その努力を正当に評価する良き父。
息子が深い傷を負った際も、「犯人を憎むことで心を汚してはいけない」と静かに諭します。彼が示す赦しの姿勢は、アガペーを理解できない霧島に大きな衝撃を与えるものです。復讐ではなく心の尊厳を重んじる、強い精神力を持った大人として描かれています。
翔太の母
家庭を明るく支える、家族思いの優しい母親です。翔太が泥だらけで帰宅した際にいち早く異変を察知するなど、鋭い直感も持ち合わせています。夫と息子が同じ夢を追いかける姿を微笑ましく見守りながら、時に厳しく、時に温かく接する存在です。
息子がいじめを受けていると知らず、彼の無理な笑顔を信じていましたが、家庭が翔太にとっての安らぎの場であり続けるよう、常に細やかな配慮を欠かしません。追い詰められた翔太にとって、唯一の心の拠り所となっています。
いじめっ子
堀内の指示を受けて動く、竹下を中心とした不良グループの生徒たちです。動画を盾に翔太を脅迫し、トイレで顔を便器に押し付けるなど卑劣な暴行を繰り返します。
堀内から金銭を受け取って暴力を代行する、倫理観の欠如した連中であり、翔太の脚が折られた瞬間も嘲笑いながら自分たちの利益しか考えていませんでした。堀内の父親が持つ権力を恐れるあまり彼の命令に絶対服従し、個人の意志を持たないまま悪事に加担する浅薄な加害者たちです。
校長
聖興学園の運営責任者で、ふくよかな体型が特徴的な年配の男性です。カウンセラーのなり手が見つからず苦慮していたこともあり、霧島の就任を心から歓迎します。
生徒たちの精神面をケアし、救いの光になるよう霧島に強く期待を寄せる一方、霧島の裏の顔や学園内で進む深刻な問題については深く把握していません。形式的な平穏を望むあまり水面下の惨劇には無頓着であり、結果として霧島に自由な活動の場を与える土壌を作ってしまいます。
監督
聖興学園サッカー部を指導する、情熱的で厳格な人物です。実力主義を貫いており、1年生の翔太をインターハイのレギュラーに抜擢するほど、その才能を高く評価しています。
チームを勝利に導くために万全の体制を整えるよう部員たちに命じており、翔太が負傷した際には事件を重く受け止め、安全確保を優先した適切な対応を取ります。競技者としての成長を促す存在であり、翔太にとって最大の理解者の1人です。
堀内の父
聖興大学付属病院の医局長であり、学園の理事も務める絶大な権力者です。息子の芳樹が引き起こす不祥事をこれまで何度も地位を利用して揉み消してきた人物であり、子供の教育よりも隠蔽に力を注ぎます。
翔太の父親の工場が自分の病院と取引関係にあることを利用して圧力をかける一方、霧島に対しても職権乱用で脅しをかけますが、国家資格の重みの前には無力です。最終的に息子の犯行が露呈すると、慌てて転院させるなど身勝手な行動をさらけ出します。
見どころ
催眠療法による精神的な制裁
霧島が下す審判は、物理的な暴力よりも精神的な破壊に重点を置いています。催眠療法を駆使して加害者に幻覚を見せ、自らの罪を体感させる描写は本作の白眉です。被害者が味わった恐怖や痛みを増幅して返す様子は、読者に強い衝撃を与えます。
法や社会の仕組みでは守られない弱者の代わりに悪を根絶する霧島——その手法が正義か邪悪かという倫理的な問いが、常に物語の根底を流れています。単なるスカッとする成敗劇には留まらない、不気味で洗練された演出が本作最大の魅力です。
無償の愛アガペーの探究
タイトルの由来であるアガペーとは、キリスト教的な無償の愛を意味する言葉です。感情のないサイコパスである霧島がこの愛を理解するために事件に関わる、というユニークな設定が本作の核心に据えられています。
被害者が加害者を赦そうとする極限の精神状態を彼は静かに観察し続けますが、愛を知らない人物が愛の形を求めて残酷な審判を繰り返すという矛盾が、物語に独特の深みをもたらします。被害者親子の絆を通じて霧島の内面に生じる変化も見逃せないポイントであり、信仰や哲学の要素が加わることで、深みのあるサスペンスへと昇華されています。
権力と裏切りの学園サスペンス
学園という閉鎖的な環境で繰り広げられる親友の裏切りや権力構造の闇が、本作では克明に描かれます。いじめの黒幕が最も身近な友人であったという展開は物語の緊張感を一気に高め、親の権力を盾にする加害者の卑劣さが、霧島による制裁をより際立たせています。
被害者がいかに絶望的な状況に置かれているかが丁寧に描写されるため、後半の展開への没入感は格別です。社会的な地位を過信する悪人が個人の力によって破滅させられるカタルシス、そして現実味のある苦しみと超現実的な制裁の絶妙なバランス——その両方を兼ね備えた、見事な一作です。





















